気象予報士より、「線状降水帯」という言葉を耳にすることが多くなりました。線状降水帯という言葉は、平成26年(2014年)8月に広島県で発生した集中豪雨からと言われています。この広島県を襲った局所的な雨は、大きな土石流を生み大規模な被害を発生させました。この時は、まだ「線状降水帯」という言葉は使われていませんでした。以後、毎年のように線状降水帯による豪雨が日本各地で発生しています。
線状降水帯による大雨は、現在の観測・予想技術では、予想が非常に難しい現象と言われていますがどうして難しいのでしょうか?
「線状降水帯」と「ゲリラ豪雨」との違いは?
1.線状降水帯
線状降水帯とは、次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が、列をなし組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過又は停滞することで作り出され、線状に伸びる長さ50~300km、幅20~50km程度の強い降水を伴う雨域を線状降水帯といいます。よって、積乱雲が線状に次々に発生してほぼ同じ場所を通過もしくは停滞し続ける自然現象で、そのため極端な集中豪雨をもたらして災害を引き起こす原因となります。「線状降水帯」という用語は、平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害が最初と見られています。
2.ゲリラ豪雨
ゲリラ豪雨とは、集中豪雨の一種で正式な気象用語ではありません。突発的で天気予報による正確な予測は困難な局地的大雨をいい、軍事用語のゲリラ(奇襲を多用する非正規部隊)に例えた表現であります。ゲリラ豪雨は、局地的に短時間に降る豪雨です。よって規模が小さく、突発的、散発的に起こるため、事前に予測することが難しいと言われています。
<過去に発生した線状降水帯の事例>
・平成26年8月豪雨(広島)
・平成27年9月豪雨(関東・東北)
・平成30年7月豪雨(西日本)
・令和2年7月豪雨
なぜ線状降水帯の予想は難しいのか?
線状降水帯は、いつどこで発生するのか?予想が難しい特徴があります。気象庁によると、線状降水帯のメカニイズは解明されているものの、その誕生には水蒸気の量や大気の安定度、高度の風など複数の要素が複雑に関係しているため、発生条件や発生の正確な予想は困難と言われています。
しかし一方で、気象庁や研究機関等により、線状降水帯の発生予想の精度は徐々に高まりつつあると言われています。
大雨も脅威となりますが、突如発生する地震と比べると、比較的対処しやすい側面もあり、平常時から準備を行っておくことで、線状降水帯による被害を少しでも抑えられるのではないかと思います。
予報が難しい現象について | 気象庁 (jma.go.jp)
「線状降水帯」はどのようにしてできるの?
<一方向に細長く伸びた形>
集中豪雨の時、積乱雲の雨雲が一方向に細長く伸びた形をしている。これを「線状降水帯」と呼んでいます。
まず、上昇気流によって「積乱雲」が発生します。移動しても新たに積乱雲が発生して、元の積乱雲と次々につながるため線状降水帯は細長く発達します。
線状降水帯は電車のレールの上を進むように移動するので、集中豪雨の被害はより甚大になります。
線状降水帯の移動方向によって被害の大きさは決まるの?
- 幅の狭い方向へ移動 → 短時間で止む
- 幅の広い方向へ移動 → 長期間、被害も大
線状降水帯による被害は、移動方向によって異なります。線状降水帯の幅が狭い方向へ移動する場合は、熱帯のスコールのように短時間で止みます。
しかし、幅の広い方向へ移動する場合は、最後尾で次々と雨雲ができるため雨は長期間に及びます。また、集中豪雨は夜になると激しくなる傾向にあります。
集中豪雨が起きるのは何で?
日本では毎年のように、どこかで集中豪雨が起きて大きな被害が発生しています。
どうして、日本では毎年集中豪雨が起こるのでしょうか?
集中豪雨が起きる二つの要因
中豪雨の原因には、次の二つのパターンが起因しています。
- 日本の地形が原因
- 風どうしの衝突が原因
風どうしの衝突が原因の場合
もう一方の原因は、風どうしがぶつかり合ってできるものです。
例えば、太平洋高気圧から時計回りに吹き出した南風が、東シナ海からの南西風とぶつかり合うと、その合流地点で上昇気流が強まり、雨雲が発達して強い雨を降らせます。
この時、このぶつかり合う衝突地点がほとんど変わらずに、次々と雨雲が発達して同じ場所に流れ込んでくると、ここに激しい雨が降り続くことになるのです。
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