今から2900年前に、富士山が山体崩壊して大量の泥流が酒匂川沿いに東に流れ込んで、神奈川県南西部に広がる足柄平野を埋め尽くしました。
火山噴火による噴石、火山灰、マグマなどの「噴出物」、そして土砂と水が流れ出る「泥流」
火山が噴出すると噴石や火山灰、マグマなどさまざまな噴出物が吹き上げられます。そして、土砂と水が流れ出る現象が「泥流」です。
「御殿場泥流」と名付けられた。
山体崩壊を起こしたのが御殿場付近だったので「御殿場泥流」と名付けられました。
噴火で発生する危険な「自然現象」
1.噴石・火山弾
噴石は、火口を塞いでいた溶岩が噴火の勢いで砕かれ、吹き飛んだものです。火山弾は、マグマがやわらかい状態のまま吹き飛び、飛んでいる最中に冷え固まったり、着地してから固まったものをいいます。
2.火砕流
マグマの破片や火山ガス、石などさまざま物質がひとかたまりで流れる現象です。移動速度は時速100kmを超え、中の温度は500℃を上回ります。
3.岩なだれ
雪のなだれのように、火山が噴火し、岩が斜面を滑り落ちる現象です。
4.泥流
土砂とともに大量の水が斜面を流れる現象です。火山の泥流は、噴火後に火砕流が湖を巻き込んだり、山頂付近の雪が噴火で溶けたりして発生します。巨岩を巻き込んだ場合は、「土石流」とも呼ばれます。
5.溶岩流
噴出したマグマが、液体のまま地表を流れる現象です。
宝永噴火による土砂被害
宝永4年(1707年)の宝永噴火により、富士山の東側にある酒匂川周辺には、約60㎝もの火山灰が堆積したため河床が上昇しました。
そして、噴火の翌年(1708年)の豪雨により、大規模な泥流が発生しました。そのため川は決壊し、足柄平野は火山灰まじりの濁流で埋め尽くされたということです。
江戸幕府の復興事業へ
氾濫はたびたび発生し、復旧までに長い年月を要しました。
小田原藩は、領土の大半が被害に遭って、自力での復興を断念せざるを得ず、領土を返還して江戸幕府の手により復興事業を行ったということです。
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